2009年05月10日

第14回 行政書士公法研究会『政策法務論』

『政策法務論』
〜『政策法務論』と行政書士業務との関係〜
「『政策法務論』の進展は行政書士業務に影響を与えるか?」

第14回行政書士公法研究会 平成21年10月30日
行政書士 山賀 良彦(北支部)


〇、あいさつ
1.講義の目的→『政策法務論』に関する現在の状況を確認する。
2.『政策法務論』がどんな意味を持ち、どんな場面で使われ、行政書士業務とどんな関係があるのか、について検討する(→大きな枠組みを捉える)。


一、言葉の意味を考える。
1.『政策法務』とは?
(1)『政策法務』ブームが来ている。
→たくさんの書物が出版されている(『ジュリスト』での特集なども)。
検定試験もある(検定試験のパンフ)。
→しかし、言葉の意味がわかりにくい。

(2)「政策」+「法務」に分解してみる。
@「政策」→衆議院議員選挙でのマニフェストブームなどで。
A「法務」→市民「法務」(←行政書士の業務の一つ)
     「法務」管理(←コンプライアンスなどで使われる)
     ↓
しかし、『政策法務』?→『政策法務』は主に地方自治の場面で使われる。


二、『政策法務論』の誕生
1.『政策法務』が、なぜ地方自治の場面で使われるのか?
(1)現在の地方自治をめぐる状況について
    @地方分権改革の流れの中にある。
→国と地方の関係に見直しを迫る。国政でも無視できない。
→全国知事会の要望

(2)地方分権改革の流れについて(その背景)
@地方分権改革による地方自治法改正、三位一体改革
A「機関委任事務」の廃止
→「自治事務」と「法定受託事務」へ+通達の失効
       ↓
B地方分権改革推進委員会第二次勧告(平成20年12月8日)より
→自治体のさらなる権限の拡大と自主財源の確保へと向かう
(許認可権限が国から知事へ、市町村長へ)。

C第三次勧告(平成21年10月7日(朝日新聞平成21年10月8日))

(3)自治体の存在意義が問われてきている。
@自治体とは何か?
(@)存在のために必要な基盤は?(国=領土、国民、主権)
→基礎的自治体について
→憲法における自治体の意義とは?
(A)広域連合、道州制の意義とは?

A自治体の活動とは何か?→そこで行われるべき「政策」とは何か?

B自治権とは何か?→それに基づいて制定される条例等とは何か?
(@)国法との関係(徳島市公安条例事件判決<1975>)
→国の法律、政令と自治体の条例、規則との関係
(A)地方自治体内部の法規範との関係
→条例、規則、要綱、規程などの相互関係
(B)自治体の権限(許認可権を含めて)とはどうあるべきか?
C自治体の活動を支えている「法務」(「法理論」)とは何か?
D自治体の活動への市民参加はどうあるべきか?

2.『政策法務』論の誕生
(1)こういった、自治体の権限の拡大を図る地方分権改革の流れの中から、自治体で行われる、行われるべき「政策」・「法務」(『政策法務』)が問題となってきた。
→自治体における『政策法務』論の高まり(『政策法務』は造語)
(自治体の問題であることを明確にする意味で「自治体法務」または「自治体政策法務」ともいわれる。

(2)現在の『政策法務』論の出発点は地方対国の意識が強かったといえる。
←現在の橋下知事などの図式は国対地方の図式
しかし、本来は住民の暮らしの問題という自治体内の問題から全国の問題へと波及するべき(→自治体内部の問題をどう考えるのか、住民の声をどう取り入れるのかの観点が弱い)。

(3)まとめ

3.『政策法務』とは。
(1)『政策法務』の定義

(2)国についての『政策法務』→『政策法務』は国でも考えられる。

(3)政策法務の沿革


三、行政書士業務との関係
1.行政書士の業務と自治体の活動との関わりとは密接。
→自治体の「政策」、「法務」(『政策法務』)に対し関心を持つべきものといえる。

2.行政書士は住民から行政手続に関する相談を受ける。
→自治体の「政策」、「法務」(『政策法務』)を知っておくべきものといえる。

3.職員も勉強している

4.教養としても知っておく必要がある。



四、政策法務について
1.具体的発露
(1)企画法務→自治体のグランドデザイン(大枠)をいかに描くのか?
→合併、地方分権改革による権限の受け皿として
→シビル・ミニマムの維持の必要性
→景観は?福祉は?…→地域にあった企画を考える。
→自治基本条例をつくるべきか?

(2)立法法務→条例の作成(規則、要綱、審査基準も含めてよい)
→国からいわれた条例ではなく、地域のための条例を作成する。
(自治基本条例、政策的な条例)
→法文を疑う心
→立法事実を伝えられる能力

(3)解釈・運用・執行法務→自治体自身による条例等の解釈・運用・執行
→条例の整備(要綱の見直し等)
→条例のコンメンタールの作成

(4)訴訟法務→政策・条例等の第三者評価
→司法分権、自治体ADR
→行政不服審査法の改革、行政事件訴訟法の改正
→訴訟は勝つべきものなのか?

(5)評価法務→政策の自己評価、第三者評価
→行政評価はどうするのか?(練馬区)
→市長が変われば政策は変わるのか?事前評価は無駄になる?
(6)+αとして、住民参加法務
→いかに住民の意見を取り入れるのか?(パブリックコメント条例など)
→役所が専門性を有しなくなっている。


五、あらためて考える。「『政策法務論』の進展は行政書士業務に影響を与えるか?」
@行政書士は自治体の活動におけるステークホルダーとなりうるか?
→自治体におけるステークホルダーとは誰か?
→「行政書士は『政策法務』の担い手となりうるか?」

A行政書士は行政の意見を住民に届けるアドバイザー足りうるか?
→産廃処理施設の問題で、街づくりの場面で等→自治体の役割は大きくなっていく。→自治体が権限を持つ。→市民は不満があれば、今以上に自治体へ苦情を言う。→今以上に自治体に説明責任が求められる。

B行政書士は市民の意見を行政にとどけるプレゼンター足りうるか?
 →行政手続法のスペシャリストとなりうるか?

C行政書士は行政と市民との間に立つファシリテータ足りうるか?
→市民対市民対行政という三者間問題の解決に向けて。

D行政書士は自治体の活動とどう関わっていけばよいのか?
→業務と社会貢献を考える。

 
 
 
 

参考文献
・ボランティア・テキストシリ−ズ 『市民活動のための自治体入門 ― 行政は何を考え、どのように行動するのか』松下啓一著 大阪ボランティア協会 2007/03

・『Q&A分権一括法と地方自治の課題』 自治体問題研究所編集部・日本自治体労働組合総連合自治体行財政局編著  自治体研究社  1999年12月

・鈴木庸夫編著『自治体法務改革の理論』勁草書房 2007/07 鈴木庸夫執筆部分

・『自治体職員のための政策法務入門〈1〉総務課の巻―自治基本条例をつくることになったけれど』出石 稔【監修】 提中 富和 藤島 光雄【著】 第一法規(2009/03/30)

・山口道昭著『政策法務入門 分権時代の自治体法務』信山社出版 2002年06月

・小早川 光郎編著『分権型社会を創るC 地方分権と自治体法務〜その知恵と力〜』ぎょうせい
2000/9 井上豊彦執筆部分

・櫻井 敬子『行政法のエッセンス』学陽書房 2007/10

<雑誌>
・宇賀克也「分権時代の政策法務について(1)」『月刊自治フォーラム11月号vol.590』第一法規

・宇賀克也「分権時代の政策法務について(2)」『月刊自治フォーラム12月号vol.591』第一法規

・磯崎初仁「政策法務の変遷と到達点−政策法務はどこまで進んだか」『月刊自治フォーラム4月号vol.595』第一法規

・「月刊地方自治 742号」2009年9月5日 地方自治制度研究会/編

・「特集 地方分権推進委員会 第二次勧告を受けて」『市政』09年2月号 全国市長会

・「特集 地方分権時代における基礎自治体のカタチ」『市政』09年1月号 全国市長会

・片山善博「片山善博の直言」『日経グローカル 09年7月20日号』 日経BPマーケティング


<事典>
地方自治百科大事典 石原信雄〔ほか〕編 ぎょうせい 1987

<ネット>
2002年 地方分権講演会 松下圭一
http://www.city.kitahiroshima.hokkaido.jp/hotnews/files
/00001000/00001017/20090310112728.pdf


横須賀市における地方分権型条例整備の取り組み
http://www.bunken.nga.gr.jp/
kenkyuusitu/seminar/siryou/yokosuka_1.pdf


港区政策法務法律相談実施要領
https://www.city.minato.tokyo.jp/reiki
/reiki_honbun/g1041430001.html


政策法務最前線!
http://www.daiichihoki.co.jp/jichi/navi-trial/pdf/03.pdf


政策法務ニュースレター 千葉県総務部政策法務課による記事
http://www.pref.chiba.lg.jp/
syozoku/a_bunsyo/seihou/letter/index.html


政策法務のプロセス
http://www.daiichihoki.co.jp/dh/upload/trial/trial603985.pdf


練馬区行政評価制度の基本的考え方
http://www.city.nerima.tokyo.jp/
gyokaku/hyouka/19kangaekata.pdf


千葉県残土条例
http://www.env.go.jp/water/dojo/sesaku_kondan/
02/mat04.pdf


産業廃棄物処理施設許可制度改善のための緊急要望(平成19年9月19日)
http://www.pref.chiba.lg.jp/syozoku/
e_sanpai/news/070918demand.pdf


ちば中小企業元気戦略事業計画書
http://www.pref.chiba.lg.jp/syozoku/
f_keisei/chougi/genki/kouhyou/jigyoukeikaku.pdf

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2009年05月09日

第14回 行政書士公法研究会の続き


第14回行政書士公法研究会の続き 

『政策法務論』
〜『政策法務論』と行政書士業務との関係〜
「『政策法務論』の進展は行政書士業務に影響を与えるか?」

発表者:行政書士 山賀 良彦(北支部)
行政書士公法研究会 政策法務の続き。

 

先日(平成21年10月30日)行った
講義の続きです。


これを探したかったのですが間に合いませんでした。



港区では、
弁護士が政策法務に関わる仕事を受け持っている、受け持ちうる、
ということで発表しました。
https://www.city.minato.tokyo.jp/reiki/
reiki_honbun/ag10414301.html




これに対して、
静岡市では
政策法務アドバイザーという制度を作って運用しています。

行政書士の可能性を感じられれるのではないでしょうか?
 

静岡市のホームページです。

以下のリンクから見られます。

http://www.city.shizuoka.jp/000072365.pdf


第4章 第2

1 政策法務アドバイザーの設置

という箇所を確認していただきたいと思います。
 
  特に、33ページの
静岡市政策法務アドバイザー設置要綱は必見です。
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