2008年12月31日

『政策法務』論−22年3月10日版

『政策法務』論について
〜『政策法務』論と行政書士業務との関係〜
「『政策法務』論の進展は行政書士業務に影響を与えるか?」

平成22年3月10日
行政書士 山賀 良彦(北支部)

〇、あいさつ
0.あいさつ

1.講義の目的:
@『政策法務』論に関する現在の状況を概観
A『政策法務』論の意味、活用場面、
行政書士業務との関係について検討



一、『政策法務』の意味を考える。
1.『政策法務』とは?
(1)『政策法務』ブームの到来。
→多数の書物の出版(雑誌等での特集、検定試験)
→しかし、言葉の意味?

(2)「政策」+「法務」に分解してみる。
@「政策」→衆議院議員選挙でのマニフェストなどで
A「法務」→市民「法務」(←行政書士業務の一つとして)
    「法務」管理(←コンプライアンスなどで)
     ↓
しかし、『政策法務』?
         ↓
『政策法務』は地方自治の場面で使われる。



二、地方自治をめぐる状況
1.『政策法務』論は、なぜ地方自治の場面で使われるのか?
(1)現在の地方自治をめぐる状況について
@地方分権改革の流れの中にある。
(@)自治体側から:国と地方の関係に見直しを迫る
(→全国知事会の要請(2009年6月18日)、全国市町村会の決議)。
(A)政府与党から  :「地域主権」

(2)地方分権改革の流れについて(沿革)
@地方分権一括法(2000年4月施行)による
地方自治法改正<第1次地方分権改革>
→「機関委任事務」の廃止
⇒「自治事務」と「法定受託事務」へ再配分+通達の失効

A三位一体改革

B地方分権改革推進委員会(2007年4月発足)の勧告
<第2次地方分権改革>
(0)地方分権改革推進委員会「中間的な取りまとめ」(2007年11月)
(@)第一次勧告(平成20<2008>年5月28日)
(A)第二次勧告(平成20<2008>年12月8日)
(B)第三次勧告(平成21<2009>年10月7日)
(C)第四次勧告(平成21<2009>年11月9日)
C政府「地方分権改革推進計画」閣議決定

(3)地方分権改革の流れのなかで地方自治体の存在意義が問われる。
@地方自治体とは何か?
(@)存在のために必要な基盤は?
→基礎自治体について
→憲法における自治体の意義とは?(最大判昭38年3月27日)
(A)広域連合、道州制の意義とは?

A自治体の活動とは何か?→そこで行われるべき「政策」とは何か?

B自治権とは何か?→それに基づいて制定される条例等とは何か?
(@)国法との関係(徳島市公安条例事件判決<1975>)
→国の法律、政令と自治体の条例、規則との関係

(A)自治体内における法規範の相互関係
→条例、規則、要綱、協定、規程、指導などの相互関係

(B)自治体の権限(許認可権を含めて)とはどうあるべきか?

C自治体の活動を支えている「法務」(「法理論」)とは何か?

D地方自治体の活動への市民参加はどうあるべきか?


2.『政策法務』論の誕生
(1)こういった、地方自治体の権限の拡大を図る
地方分権改革の流れの中から、地方自治体で行われている、
行われるべき「政策」・「法務」(『政策法務』)が問題となってきた。
→『政策法務』は地方自治体の現場から誕生。
→自治体における『政策法務』論の高まり(『政策法務』は造語)
(自治体の問題であることを明確にする意味で
「自治体法務」または「自治体政策法務」ともいわれる)。

(2)まとめ

(3)注意点
現在の『政策法務』論は地方対国の意識が強い。
→自治体内部の問題をどう考えるのか、
住民の声をどう取り入れるのかの観点が弱い
(住民自治の観点が弱い)。
→全国知事会の要請、全国市町村会の決議は国対地方の図式
→本来は住民の暮らしの問題という
自治体内の問題から全国へと波及するべき。


3.『政策法務』とは。
(1)『政策法務』の定義(代表的な見解)
(2)『政策法務』の沿革について


三、行政書士業務との関係
1.行政書士の業務と自治体の活動との関わりとは密接。
→自治体の「政策」、「法務」(『政策法務』)
に対し関心を持つべきものといえる。

2.行政書士は住民から行政手続に関する相談を受ける。
→自治体の「政策」、「法務」(『政策法務』)
を知っておくべきものといえる。

3.自治体職員も勉強している

4.教養としても知っておく必要がある。

四、『政策法務』について
1.具体的発露から行政書士業務との関連性を考える。
(1)企画法務→自治体のグランドデザイン(全体像)をいかに描くのか?
→合併の是非、地方分権改革による権限移譲の受け皿として
→シビル・ミニマム維持のために(景観は?福祉は?…)
→地域にあった企画を考える。
→自治基本条例をつくるべきか?

(2)立法法務→条例(規則、要綱、審査基準も含めてよい)の作成
→国からいわれた条例ではなく、地域のための条例
(自治基本条例、政策的な条例)を作成する
→「法律を疑う心」、「立法事実を汲み取り、伝える能力」の育成。

(3)解釈・運用・執行法務
→自治体自身による条例等の解釈・運用・執行
→条例の整備(要綱の見直し等)
→条例のコンメンタールの作成

(4)訴訟法務→政策・条例等の第三者評価
→司法分権、自治体ADR
→行政不服審査法の改革、行政事件訴訟法の改正
→訴訟は勝つべきものなのか?

(5)評価法務→政策の自己評価、第三者評価
→行政評価はどうするのか?
→市長が変われば政策は変わる?=事前評価は無駄になる?

(6)住民参加法務(+αとして)
→いかに住民の意見を取り入れるのか?
(パブリックコメント条例など)
→役所が専門性を有しなくなっている点について


五、あらためて考える。
「『政策法務』論の進展は行政書士業務に影響を与えるか?」

1.行政書士は自治体の活動におけるステークホルダーとなりうるか?
→自治体におけるステークホルダーとは誰か?
→「行政書士は『政策法務』の担い手となりうるか?」

2.行政書士は行政の意見を住民に届けるアドバイザー足りうるか?
→産廃処理施設の問題で、街づくりの場面等で
自治体の役割は大きくなっていく。
→自治体が権限を持つ。
→市民は不満があれば、今以上に自治体へ苦情を言う。
→今以上に自治体に説明責任が求められる。

3.行政書士は市民の意見を汲み取り、
行政にとどけるプレゼンター足りうるか?
→行政手続法のスペシャリストとなりうるか?

4.行政書士は行政と市民との間に立つファシリテータ足りうるか?
→市民vs行政、市民vs市民vs行政という三者間問題の解決に向けて。

5.行政書士は自治体の活動とどう関わっていけばよいのか?
→業務と社会貢献を考える。


六、おわりに
1.品川区のイメージ
→都会的、おしゃれな街(町)、車のナンバーが人気

2.他の区や市のイメージ
→杉並区、北区、港区、八王子市のイメージ
→あなたの住んでいる街(町)はどんな街(町)ですか?

3.『政策法務』とは
簡単に言えば、
「私達の街(町)はどんな街(町)なのかを問い直す作業」、
さらには「私達の街(町)はどうあるべきか?」
「どうしたらいいのだろうか?を問い直し、
そのために実行する過程」。

4.地方分権との関係
近時、地方分権(地域主権)がブーム。
しかし、地方分権や地域主権をすること自体が目的であるはずがない。
   ↓
地方分権(地域主権)により、
「自分の街(町)がどんな街(町)になっていくべきか」、
「どんな街(町)にすべきか」が目的であるべき。
   ↓
「街(町)がどうあるべきか?」を考える過程
(=政策法務の一場面)は
地方分権、地域主権を考えることにつながる。
   ↓
『政策法務』は地方分権(地域主権)に密接にかかわりがあり、
地方分権、地域主権の基礎をなすといえる。

5.『政策法務』にスポットを当てて、
その中でいかに行政書士が関わっていけるのかを考える。

@例:
行政書士の業務は、広く建設、宅建、産廃など街づくりに関係する。
行政書士は許認可業務を行いながら
まちづくりに何か関われないのか?

A例:高齢社会にあたっての成年後見制度をどう考えるのか?
介護保険制度等が契約中心の中(措置から契約へ)で、
高齢者保護を如何に考えるのか?
→行政書士は何か関われないのか?

B例:まちづくり、地方分権、地域主権、道州制への動きの中で
行政書士はどのように関わっていけるのか?

C例:教育問題(法教育)における関与
品川区は小中一貫教育を実施していることから。


以上

 
 
 


参考文献
・地方分権関係の主要な経緯(最近20年間) [PDF:91KB]
http://www.cao.go.jp/chiiki-shuken/ayumi.pdf

・全国知事会のhpより
「大胆」で「逃げない」マニフェストを!
〜地方分権改革に真っ向勝負で、全力投球!〜
http://www.nga.gr.jp/news/haifushiryou090618.pdf

・全国市長会のhpより
全国知事会のの主張
-決議-理事・評議員合同会議決定(平成21年11月20日) 
真の地方分権改革の推進に関する決議
http://www.mayors.or.jp/opinion/ketugi/
h211120/211120bunken.htm


〇地域主権戦略会議のhpより
・ 基本方針(抄)(平成21年9月16日閣議決定) [PDF:116KB]
http://www.cao.go.jp/chiiki-shuken/kaigi/
kihonshiryou/kihonshiryou01.pdf

・ 第173回国会鳩山総理大臣所信表明演説(抄) [PDF:91KB]
http://www.cao.go.jp/chiiki-shuken/kaigi/
kihonshiryou/kihonshiryou02.pdf


・地方分権の推進を図るための関係法律の整備等
に関する法律案の概要
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/
990401bunkenhou.html


・埼玉県の地方分権のページより
「地方分権一括法」
http://www.pref.saitama.lg.jp/A02/BK00/
bunken/ikkatsuhou/ikkatsuhou.html


・「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」
 の施行に係る通達の見直し等に関する調査結果について(送付) 
http://www.bunken.nga.gr.jp/siryousitu/
shoko/120502tuutatutyousa.htm


神奈川県のhpより
・地方分権ウェブ講座「地方分権改革について」
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/
01/0111/webkoza/bunken.html


・条例の見直しの仕組み<PDF215KB>
http://www.pref.kanagawa.jp/osirase/
11/1108/minaoshi/shikumi.pdf


千葉県(総務部 政策企画課 政策法務室) のhpより
VOL.1−3 平成17年1月14日 
議題:条例等の整備方針について
http://www.pref.chiba.lg.jp/syozoku/a_bunsyo/
seihou/letter/vol1-3/letter1-3.pdf


VOL.4−4 平成20年2月29日
☆地方分権改革推進委員会「中間的な取りまとめ」
〜県の事務に大きな変化が起こる予兆〜
http://www.pref.chiba.lg.jp/syozoku/a_bunsyo
/seihou/letter/vol4-4/letter4-4-1-2.pdf


VOL.6−2 平成21年10月7日
☆条例制定の可能性と限界
http://www.pref.chiba.lg.jp/syozoku/a_bunsyo/
seihou/letter/vol6-2/letter6-2-4.pdf


VOL.6−3 平成22年3月4日
☆政府の地方分権改革推進計画について
〜地域のことは地域で決める〜
http://www.pref.chiba.lg.jp/syozoku/a_bunsyo/
seihou/letter/vol6-3/letter6-3-1-2.pdf


☆地方分権の動きを見据えた「条例等の整備方針」
〜要綱等の見直しに係る考え方について〜
 ⇒3頁目(PDF版:約36KB)
http://www.pref.chiba.lg.jp/syozoku/a_bunsyo/
seihou/letter/vol6-3/letter6-3-3.pdf


第29次地方制度調査会
「今後の基礎自治体及び監査・議会制度のあり方に関する答申
http://www.soumu.go.jp/main_content/000026968.pdf


・集団行進及び集団示威運動に関する徳島市条例違反、
道路交通法違反被告事件
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/
1962B2E97F8C57E249256A960026823A.pdf


・横須賀市における地方分権型条例整備の取り組み(PDF)
横須賀市における地方分権型条例整備の取り組み(PDF)
http://www.bunken.nga.gr.jp/kenkyuusitu
/seminar/siryou/yokosuka_1.pdf#search


〇練馬区の政策評価について
・行政評価の基本的考え方
http://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/
hyoka/gyosei_hyoka/kihon/index.html


・121中小企業の経営を支援する(PDF:15KB)
http://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/hyoka/
gyosei_hyoka/h21shisaku/21sisaku-1.files/1_2_1.pdf


〇静岡市のhpより
・総務局総務部政策法務課 静岡市政策法務推進計画」
(平成20年3月)
http://www.city.shizuoka.jp/000072365.pdf


<その他、参照した記事>
〇内閣府のHPより
・平成21年12月15日 「地方分権改革推進計画」
http://www.cao.go.jp/chiiki-shuken/keikakutou/
keikakutou-index.html


・地方分権改革推進委員会の勧告について以下より御覧下さい。
http://www.cao.go.jp/bunken-kaikaku/index.html


東京の区の制度改革について
〇特別区制度調査会のhpより
http://statwb.tokyo-23city.or.jp/
seidochousakai/index.htm


・第二次特別区制度調査会 報告
http://statwb.tokyo-23city.or.jp/
seidochousakai/b4page.htm


・「都の区」の制度廃止と「基礎自治体連合」
の構想【概要版】[PDF形式ファイル 67KB]
http://statwb.tokyo-23city.or.jp/seidochousakai/
2nd-h/200712gaiyou.pdf




<書籍>
<政策法務について>
・『自治体職員のための政策法務入門〈1〉総務課の巻
―自治基本条例をつくることになったけれど』
出石 稔【監修】 提中 富和 藤島 光雄【著】
第一法規(2009/03/30)

〇政策法務の定義
・宇賀克也「分権時代の政策法務について(1)」
『月刊自治フォーラム11月号vol.590

・磯崎初仁「政策法務という戦略−法律論と政策論の融合」
『月刊自治フォーラム3月号vol.594

<政策法務の具体的発露>
・山口道昭著『政策法務入門 分権時代の自治体法務』
信山社出版 2002年06月


〇鈴木庸夫教授の考えを知るには。
政策法務最前線!
http://www.daiichihoki.co.jp/
jichi/navi-trial/pdf/03.pdf



その他の参考文献について⇒第14回 行政書士公法研究会『政策法務論』へ

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